+Love You+
三話/愛した人


そう友紀哉の冷たい口調が聞こえた瞬間、突然自分のズボンを脱がされてしまう。
真っ暗な空間でも、自分にされることの全ては把握することが出来る。
「なっ! なにしやがっ…はぁぁっ!!」
完全に下半身をさらけ出されたと思った瞬間に、全身に一瞬の快感が走る。
目に見えなくとも、何をされているのかは嫌でも解った。
「んっ…んむっ…ん」
「やめ…ふぁぁっ…んっ、っはぁぁっ…」
友紀哉は将幸のペニスを口で愛撫し始め、将幸もそれに合わせて熱い吐息を漏らし始める。
それを嫌だと心の中でどんなに思っても、身体は正直に反応を返す。
瞬く間に将幸のペニスは硬く大きくなり、手足を縛られた全身をひくひくとさせながら快感を表現する。
「将幸君…感じてるんだね」
「ちがぁっ…はぁっ…んっく、はぁぁぁっ…」
やがて与えられる快感は、将幸の身体に絶頂を迎えさせる。
しかし将幸はそれだけは必死に押さえ込み、今の自分に出来る唯一の抵抗をしてみせる。
「もうイッてもいいんだよ…将幸君」
「ふざけっ…んなっ…はぁ…誰が、お前なんかに…」
この場で絶頂を迎えることは、友紀哉のことを自分が受け入れたことになってしまう。
それだけは絶対、するわけにはいかなかった。
「…そう」
そんな将幸に対して、友紀哉はそう一言だけ返事を返してきた。
その瞬間にペニスに与えられる快感も消え去り、将幸は絶頂感を抑えるために強張らせた身体を元に戻す。
「はぁっ…はぁっ…誰が、イく…!! んあぁぁぁぁぁっ!!」
そして息を整えようとするが、次の瞬間全身に激しい圧迫感が襲い掛かってくる。
「将幸君…解る? 僕の身体、今将幸君の中に入ってるんだよ…」
「はぁぁぁぁっ! んっふぁん…やっ…あぁっ!」
肉体に感じる異物感だけでなく、耳にもグチュグチュという卑猥な音が入り込んでくる。
間違いなく、今友紀哉の身体と自分の身体が繋がっていた。
動きはどんどんと激しくなり、将幸は全身を仰け反らせて快楽を表現し始める。
「将幸君…将幸君…」
「んあぁぁっ! はっ…はぁぁっ…もっ、や…っ!」
今までになく身体を仰け反らせた瞬間、将幸の虚ろな瞳にある姿が映った。
僅かな月明かりが室内に差し込み、剛の身体を照らす。
その瞬間に将幸の瞳から涙が流れ出し、そしてその涙はいつまでも止まらなかった…
剛は…剛のことは、本気で好きだった。
たとえ最初はお遊びであったとしても、今は自分にとって一番愛しい人だった…
「将幸君…愛してるよ…」
「はぁっ…んぁぁぁっ、やっ…はぁぁっ!!」
全身を何度も仰け反らせながら、友紀哉から与えられる快楽に身を委ねる。
しかしその顔の向く先は友紀哉ではなく、動かない剛の姿へと向けられていた。
たとえもう息をしていなくても、本気で好きになった人間を前に犯されること…
今までに感じたことのないほどの怒りや憎しみ、そして悲しみ…抑えられない負の感情の全てが、将幸の瞳から涙となって流れていた。
「愛してるよ…」
「はぁぁぁっ…はっ、あぁぁぁぁっ!!」
唯一に愛した人の前で涙を流し、ひたすら喘ぎをあげ…そして絶頂を迎えるまで…
将幸は友紀哉に犯され続けていた。


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