+Love You+
四話/ココロ
「……放課後、か…」
将幸は両手を真っ赤に染め、倒れるように横たわっていた。
周りには自分が撒き散らした液体が、赤い小さな斑点となっていた。
「…いかない訳には、いかないよな…」
表情は先程以上に疲れ果て、もはや死ぬ寸前のような顔をしている。
目には輝きを感じられず、声にも力は感じられない。
「…行かなきゃな…」
完全な放心状態になりながらも、将幸は紙に書かれていたことを思い出していた。
今日の放課後に、あの体育倉庫に来て欲しい…と。
「…行かなきゃ…」
本心はもう、友紀哉とは関わりたくないと思う。
会えばより一層におかしくなることは、自分自身の混乱で明白だった。
それでも将幸は、友紀哉のもとへと行かなければならない。
友紀哉との間に、秘密がある以上…
「…剛…助けてくれよ、剛…」
それは、剛が友紀哉に殺されたと言うこと…
確かに剛を殺したのは友紀哉に違いない。
けれど友紀哉に剛を差し向けたのは自分であり、当然自分にも責任がある。
もし友紀哉の呼び出しに応えなければ、そのことをばらされるかも知れない。
だから…逃げられなかった…
「…友紀哉…ちゃんと、行くからな…だから」
それでも将幸は、まだ正常な精神状態を保っていた。
いつか必ず…友紀哉の恐怖から逃げ出してみせると…
友紀哉のことで自分の精神状態がおかしくなり、消えそうになってしまう自分の意思…
それを必死に持ち上げながら、将幸はそう思っていた。
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