+雨+
〜翌朝〜
「んっ…ん」
いつも聞こえる鳥の声は、全く聞こえてはこない。
その代わりに聞こえてくるのは、昨日と同じ雨の轟音。
昨日ほどではなくとも、辺りにはあいも変わらず水が降り注いでいる。
クライドの目の前を、大きな音を立てて降り続ける…
「…まだ、降ってんのかよ…」
そのままどんなに待っても、外の雨は止むことも収まる気配もない。
辺り一面の水溜りは大きさを増し、それを目にするとより一層に寒さを感じてしまう。
クライドは水と風の寒さに凍える身体を、より一層に丸めてうずくまる。
「…とっとと止めよな…」
そして一人寂しそうに、願うような小さな声を出す。
その目にもまた、水のしずくがたまっていた。
毎日のように流れる、止まらなくて悲しい涙の雨…
毎日のように感じる寂しさが、雨となって流れていった。
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