+守るもの、守りたいもの+/-shp-003-
内容プレビュー


内容プレビュー1

「…そういえば、礼を貰ってなかったよな」
「えっ…礼って…んんんっ!」
 自分の顔に勇人の手が触れたと思った瞬間、
 京太の唇は勇人の唇とが合わさる。
「なっ…なにすんだよ!」
 とっさに自分の顔に触れる勇人の手を振り払い、勇人との距離をとる。
「…俺はお前の言うように、悪人なんだよ」
「何…言ってんだよ! 自分で悪人って…何言って…」
 自分の求めていた答えとは全く違う答えに、
 京太はその場で泣き出してしまいそうな表情を見せる。
 そんな京太に対し勇人は再び京太の身体に近づいて行き、
 今度は両腕を押さえつけながらその場に押し倒す。
「やっ! やだっ!」
 京太は必死に抵抗をするが、力の差は歴然。
 どんなに動こうとも、自分の腕から勇人の腕が離れることはなかった。
「俺は…悪人なんだ…だからこんなことだって、平気で…」
「いやっだぁ…」
 京太は目に沢山の涙を浮かべながら止めて欲しいと言うが、
 勇人が止まることはなかった。


内容プレビュー2

「でも俺、お前のこと恨めない…
 理由なんて解んないけど、勇人のこと…嫌いにはなれないよ…」
 京太の言葉に、勇人は暫く無言でいた。
 しかし少しすると、勇人は今までにない大きな声をあげる。
「…なんで…なんでお前は、そんなことが言えるんだよ!」
 そう言うと勇人はその場から勢い良く立ち上がり、
 京太の胸倉を強くつかみ、壁に叩きつけるようにする。
「ゆっ、と? かはっ…」
 急に息をすることが困難になり、吐き出してしまいそうになる。
 しかし京太は、それを必死に押さえ込もうとしていた。
「俺はお前のこと犯したんだぞ!嫌がってるの解ってて、無理やり…
 それなのに何でそんなことが言えるんだよ!」
 そう言われた瞬間、昨日の出来事が頭の中を駆け巡る。
「いたぃ…よ」
「なんで…なんで俺なんかに構うんだよ…
 俺みたいな奴に、なんで優しくしたりするんだよ…」
 京太の胸倉をつかんでいた腕の力が弱くなっていき、
 勇人の拘束からはなんとか離れることが出来た。
「はぁっ…はぁっ…」
 京太は息を整えるため、必死に深呼吸を繰り返す。
 そして自分の息が落ち着いた辺りで勇人の顔に目を向けると、
 大粒の涙が目からこぼれ落ちていくのが見えた。
「なんで…なんで…」
 勇人はそう何度も何度も、同じことを口にしていた。