+兄弟+
Scean5


『ピンポーン、、、』
「あ、、、はーい。」
考え事をしていた拓弥は突然鳴った家のチャイムに驚いた。
「どちら様ですか?」
「あ、、、拓弥さん?俺ッス。智樹です。」
「どうしたんだ?まぁいいや。ちょっと待ってろ、、、」
そう言うと玄関に向かう。
智樹とは古い仲だ。
と言っても俺が仲が良かったって訳じゃなくて、
拓斗の親友で、良く家にきてたから仲良くなったもんだ。
『ガチャ』
玄関を開けると学生服の智樹が立っていた。
学校帰りに寄ったのだろう。
「よっ、、、どした?珍しいな。家に来るなんて。」
「そうっすか?最近色々あるから、、、」
少し回答に困りながら智樹は答えた。
まぁ高校生にもなれば自然と付き合う奴も増える、、、
もちろん自分の好きな奴とも、、、
「ふーん、、、まっ良いや。で、どした?」
「あ、、、拓斗の奴最近ずっと学校休んじゃったからさ、、、
ちょっと心配になって、、、」
心配そうに話す智樹に拓弥は少し困りながら、
「あ、、、あいつ元気だから、、、そんな気にしなくても大丈夫だよ。」
「そうですか?、、、でも、、、」
「、、、ありがとうな。心配してくれて、、、なぁ、、、ちょっと聞いて良いか?」
「なんですか?」
「あいつ、、、拓斗のやつなんかあったのかな?
知ってることがあったら教えて欲しいんだけど、、、」
「あ、、、べ、、、別に、、、何も、、、」
拓弥の質問に智樹は困りながら答えた。
「、、、なんかあったんだろ?頼む!!教えてくれよ。
あいつ、、、絶対自分から言わないから、、、」
「、、、僕が言ったって、、、言わないで下さいね。」
「大丈夫だって。」
「拓斗のやつ、中学の時いじめにあってたらしいんです、、、
その、、、詳しくは知らないけど、、、」
「、、、えっ、、、」
「俺は別の中学行ってたから詳しく知らないんですけど、、、」
「それで!!」
玄関前で大声を上げながら拓弥は智樹に問い詰めるように聞く。
「俺も少しだけ聞いたんだけど、、、どうもホントだったらしくて、、、
拓斗に直接聞いたんだけど、はぐらかされて、、、
でも『嫌な事はちょっと我慢すれば良いんだ、、、』って言ってました。
なんのことか解らなかったけど、、、今になって思うと、、、
「、、、そんなことあったのか、、、」
「どんな感じのいじめだったとかは知らないんだけど、、、」
「いや、、、良い、、、それだけで、、、ありがとう、、、」
「あ、、、拓斗のやつ、、、今いるんですか?」
「、、、あぁ、、、いるんだけど、、、ちょっと、、、」
「なんかあったんですか?」
「ちょっと、、、な、、、疲れちまってるみたいでさ。
拓斗、、、ちゃんと学校に行くから、、、大丈夫。」
少し自信なさげだが、智樹はその言葉を信じ、
「お願いします。あいつ、結構傷つきやすいから、、、」
「そうだな、、、今日はありがとな。」
「いえ、、、じゃあ今日は失礼しますね。」
「あぁ、、、またな、、、」
そう言うと智樹は家を後にした。
「拓斗、、、」


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