+本当のこと+
Scean9


カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。
その明かりで健は目を覚ます。
「んっ、、、」
自分の横では圭太が小さな寝息を立てながら眠っていた。
健は圭太を起こさないように、静かにその場から起き上がろうとする。
「、、、お兄ちゃん、、、またお仕事?」
すると自分の腕を掴み、圭太は引き止めるように言う。
「圭太、、、起きてたのか、、、」
「うん、、、お兄ちゃんずっといてくれるか心配で、、、」
本当に心配だった、、、
気がついたらお兄ちゃんがいなくなっているんじゃないかって、、、
「圭太、、、」
健の表情は少しも変化を見せない。
そんな表情を見た圭太は、自分が悪いことをしたかのように返事を返す。
「あっ、、、ごっ、、、ゴメンなさい、、、」
「圭太、、、」
健はそんな圭太を抱きしめながら言う。
「今日から帰りは早くなると思う。それに来週は休みが取れる。
そうしたらどこか2人でかけよう。」
「ほんとっ!!あっ、、、でもお兄ちゃん、、、お仕事で疲れてるだろうし、、、」
圭太は再び申し訳なさそうな顔をしながら言う。
健はそんな圭太の顔に自分の顔を近づけ、キスをしてやる。
「俺のことは気にしなくても良い、、、それに、、、もっと我侭も言って良い。」
「でもっ、、、んっ、、、」
何度も圭太の口にキスをしてやる。
「お前にそうやって我侭を言われること、、、俺には凄く嬉しいことだから、、、
俺のことなんて気にしないで、どんどん言ってくれて構わない、、、」
「けん、、、にいちゃん、、、」
「俺は、、、そういう嬉しさとかを表情に出すのが苦手なんだ、、、
そのっ、、、なんて言うか、、、本当はお前に我侭を言われること、、、嬉しいことだから、、、」
少し顔を赤くし、照れながら健は言っているのが解った。
「お兄ちゃん、、、」
そう言うと圭太は健の身体に、力いっぱい抱きつく。
「っと、、、圭太?」
「僕、、、お兄ちゃんのこと、、、大好きだから、、、」
「圭太、、、」
「ねぇ、、、ひとつだけ我侭言っても良いかな、、、」
健に抱きつきながら圭太は言う。
「、、、俺にできることなら、なんだって良い。」
「その、、、また昨日みたく、、、お兄ちゃんと一緒に寝ても良いかなって、、、思って、、、」
圭太は少し恥ずかしそうに健に寄り添いながら言う。
そんな圭太を健は強く抱きしめてやる。
「そんなことだったら、、、いつでも構わない、、、いつだって一緒に寝てやるよ、、、」
凄く温かかった。お兄ちゃんの大きな身体も、、、心も、、、
僕もう一人でいること、、、寂しくないよ、、、
こんなに温かい人と一緒にいられるんだから、、、もう寂しくなんてないよ。
一人じゃないから、、、寂しい時、、、一緒にいてくれる人がいるから、、、


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