+brotherly+
+affection+
秘密


時計を見ると今の時間は丁度6時。
学校に行くのは家を8時に出れば良いわけだから、あと2時間は寝られる。
けれどベッドで横になっていても、全然寝られなかった。
さっきのように誰かを想っていて眠れないのではなく、今度は自分のことで眠れない。
自分と兄貴の関係を誰かに知られたことは、拓斗の頭から離れることが無い。
「俺と兄貴のこと…知ってる人いるんだ…」
ベッドに横になりながら、同じことを考え続ける。
自分と兄貴の関係が少し変だってことは解ってる。
『男同士だから…兄弟だから…』
だから隠していたかった。いや、むしろ隠していなきゃいけないと思ってた。
けれど兄貴はレオさんに話してた。
正直兄貴がレオさんに、俺達のこと普通に話していることに驚いた。
自分は隠しつづけなくちゃいけないことだと思っていたからだ。
もちろん兄貴だってそう思ってると思う。
でも普通に話している兄貴とレオさんを見たとき、
隠し事無く普通に話している2人が凄く羨ましくも見えた。
「自分もそんな人いるかな…」
ふとつぶやいて、すぐに智樹の顔が思い浮かぶ。
いつだか自分が思ったことがある。
『いつかは智樹には伝えたい』
智樹は親友だから。智樹は大切な親友だから。
秘密のない、なんでも話せる親友だから。
「智樹…どう思うかな…」
答えの見つからない考えを繰り返す。
智樹がどう思うかなんて、実際言ってみないと解らないってことは解ってる。
けれど言うことは自分にとって凄く辛いことだから、そこに踏み出せない。
もし言って、智樹に嫌われたら…そんな想いがあるせいだ。
智樹にだけは嫌われたくなかった。
別に他の人なら嫌われても良いと言う訳ではないが、
自分にとって智樹は特別な存在だった。
小さな頃から一緒に遊んで、どこか遊びに行くにもいつも一緒だった。
とても大切な親友。無くしたくない親友。
だから嫌われたくなかった。
「でも…智樹なら…」
ふと子供の頃にした智樹との約束のことが思い浮かぶ。
『拓斗と俺の間に、秘密は無しにしような!!』
子供の頃のことなのだから、はっきり言えば口約束に過ぎない。
だけど俺も智樹も、その約束を守ってきた。
「智樹なら…智樹なら俺達のこと…受け入れてくれるかな…」
智樹に伝えたい想い。だけど智樹に嫌われたくない想い。
けれど自分も拓弥と玲於奈のように、秘密を言い合える人が欲しいと言う想い。
それらが拓斗の頭の中をまわり続けていた。
少しすると窓のカーテンから明かり差し込んでくる。
気がつけばもう登校時間になっていた。


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