+brotherly+
+affection+
秘密
智樹も純哉もいなくなって、屋上には自分ひとりだけになった。
『智樹は兄貴のことが好き』
ふとさっき智樹に言われたことを思い出す。
「あんなこと、聞かなきゃ良かったな…」
とっさに出てしまった言葉を後悔する。
ひとりだけの屋上で、拓斗は少し胸が痛んだ。
正直あの時に純哉が来てくれたことはラッキーだったと思う。
もしあの時来てくれなかったら、
智樹に本当のことを言わなければならなかったかもしれない。
もしかしたら智樹を傷つけてしまうかもしれなかった。
そう考えると、また胸が痛む。
そして自分と兄貴の関係が言えないことが、さらにその痛みを加速させる。
「言えないよ…言えるわけないよ…」
胸の痛みを必死にこらえながら、拓斗もまた屋上を後にする。