プレゼント
Scean3
「よっ!!おそくなっちまってわりいな。バイトなかなか帰してくれなくてさ、、、」
もう夜の7時を回ったところで待ち合わせ場所に哲哉は現れた。
息を切らせ、全速力で走ってきた様だった。
「うぅん。別に大丈夫だよ。
でも大変だね、、、自分の誕生日までバイトなんて、、、」
「ははっ、、、仕方ないだろそんなの、、、
俺の都合でバイト先やってくれてる訳じゃないからな。
まぁ週末じゃないだけ良しとしないとな。」
哲哉はだいたい昼間は学校で、夜はバイトって言う生活。
夜って言っても高校生だし、言うほど遅くないけどさ、、、
でも哲哉と高校は違うから、2人で過ごせる時って本当に少ないんだよね、、、
そのせいか付き合ってからもうすぐ1年以上経つのに、キスどまり、、、
別に、、、それが嫌って訳でもないけどさ、、、
「っと、、、どうする?」
「えっと、、、今日哲哉の誕生日だから、俺手料理作ったんだ。」
「マジで?やり〜!!まだ夕飯食ってなかったし、翼の手料理だろ?楽しみだな。」
「そんな期待するほどのもんじゃないかもしれないけど、、、」
「期待すんな、、、ってのが無理だぜ。翼が俺の為に作った料理だろ?
期待するに決まってるよ。よっし!!早く俺んち行こう。」
哲哉は一人暮らししてる。
両親と仲が悪いから、、、とかじゃなくて、単に気楽だからだって。
それに、俺と2人だけでいたいから、、、だって。
哲哉が一人暮らしはじめた時、俺に合鍵くれたんだ。
『暇な時とか好きなように来て良いからな。』って、、、
でも殆ど2人きりになったことないんだよね、、、
哲哉が家に居る時は遅いから、俺はいつも自分の家に居るし。
俺が哲哉の家に居る時は、哲哉はバイトとか行ってるし、、、
だけど俺暇な時とかは大体哲哉の家に居る、、、
大好きな哲哉の部屋に居られるだけでも嬉しいし、
もしかしたらバイトが早く終わって、
ひょっこり帰ってきたりするかも、、、とも思ってたし、、、
でも今日はずっと哲哉と居られる、、、
明日は木曜日だけどちょうど学校が休み、、、
親にも『友達の所に泊まる』って言ってきたし、、、
「でもさぁ、久々だよな。こうしてお前と2人っきりってのも。」
「えっ、、、うん、、、そうだね、、、」
「んだよ、、、なんか元気ねぇな、、、どうした?」
「えっ、、、そんなことないけど、、、あ、、、
この間ちょっと風邪ひいちゃって、、、まだ頭がちょっと、、、」
「俺そんなこと聞いてねぇぞ?大丈夫かよ、、、」
「はは、、、そんなに心配しないでよ。ただの風邪だし、、、」
「ただの風邪だろうが、少しくらい俺に言えっての、、、ったく、、、」
「そうだね、、、ごめん、、、」
「まぁ、、、治ったなら良いけどさ。注意しろよ。」
「うん。ありがと、、、」