+会えてよかった+
四話


「尚希っ!」
勢い良くドアを開けて、急いで尚希のいるベッドへと向かう。
「はっ…っ…は…」
そこにはもう声を出すことも出来ず、全身を丸めながら苦しむ尚希がいる。
先程以上に吐く息は小さく、今にも切れてしまいそうだった。
「尚希っ! しっかりしろって! 今先生呼んできたからな!」
太陽は尚希の身体に触れて励ますように言うが、尚希からの反応は何もなく、聞こえているのかどうかも解らなかった。
「はっ…はっ…ぅっぁ…は」
しかし尚希には、太陽の声が聞こえてないわけではない。
返事をしようにも、自分の息をしようとするだけで精一杯な尚希には返事をすることができなかった。
「尚希…大丈夫だからな…絶対大丈夫だからな…」
そういって太陽は震え続ける尚希の身体を抱き寄せながら、止まることのない額の汗を、再び自分の袖で拭き続ける。
「すぐに先生来てくれっからな…すぐに治してくれっからな…」
止め処なく流れても、太陽はずっとそれを拭ってやっていた。
苦しむ尚希に、何かをしてやりたい…少しでも楽にしてやりたい…
そんな気持ちからか、太陽の手は医師が来るまで止まることはなかった。
当然そんなことをしても、尚希の苦しみが楽になるわけがない。
それでも…ただ見ているだけは、絶対にしたくなかった。


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