+Love You+
一話/約束
Scean5


友紀哉が下半身をさらけ出したまま射精の余韻に浸っていると、将幸はその前で乱れた学生服を整えだす。
「さてと…俺用事あるから帰るな」
まるで何事もなかったかのように言い放ち、その場から将幸は去ろうとする。
「えっ…ちょ、ちょっと待ってよ!」
将幸の声と行動に、友紀哉は放心状態から現実に連れ戻される。
そして姿格好をそのままに、将幸のことを止める。
「なんだよ…まだ用あるのかよ…」
そんな将幸の表情は、嫌がっているようにも見えた。
「だっ、だから…僕は将幸君のことが好きで…その」
そう感じても、答えが聞きたかった。
好きという自分の気持ちに対する、将幸の答えを知りたかった。
ただ将幸から返ってきた返事は、受け入れでも拒絶でもない…友紀哉にしてみれば、考えられない返答が返ってきた。
「…お前何言ってんの? 俺のこと抱きたかったんだろ? お前も」
「えっ…」
当たり前のことのように言う将幸の言葉に、友紀哉はその場で固まってしまう。
しかしそれを気にすることなく、将幸は言い続ける。
「単に、俺とセックスしたかったんだろ?」
「そっ、そういうつもりじゃ!!」
最初は何を言っているのか理解できなかったが、友紀哉は我に返ってそう否定の言葉を口にする。
「まぁまぁ…気にすることじゃないって。ここ男子校だろ? それに俺なんか結構もてんだよな」
「だっ…だからちがっ…」
「まっ、俺もセックスするの嫌いじゃないしな」
将幸はそう言いながら、ケラケラと笑い顔を見せる。
作り笑いとは絶対に感じられない、自然な笑い顔だった。
「僕は…そういうつもりじゃ…将幸君とセックスしたいなんて…」
否定する大きな声は、将幸の返事もあってだんだんと小さくなっていく。
そんな友紀哉の姿を見て、将幸は呆れたような表情で言ってくる。
「だからー…そんなに気にするなって。別に俺はそんなんでも構わないからさ」
「ちがうっ…僕は、僕は本気でっ!」
再び友紀哉の声が大きくなるも、将幸はそれを遮って口にする。
「俺にはそういう奴しか寄ってこないからな…まっ、もしやりたかったらまた誘ってくれよ。お前、結構良い感じだったからな」
恥ずかしげもなく言う将幸の言葉に、友紀哉は顔を下に俯かせてしまう。
その身体がフルフルと震えているのが、目に見えて解った。
「…う…ち…ぅ」
「んだよっ…きこえねぇよ!」
友紀哉は呟くような小声を出すものの、将幸には全く聞こえてこない。


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