+Love You+
三話/愛した人
「お前っ…お前がやったのか!!」
「将幸君…来てくれたんだ。僕、嬉し…」
「答えろっ!! お前がっ…お前が剛のこと殺したのか?!」
友紀哉は嬉しそうな声を出しながら、将幸の方へと向かってくる。
しかし将幸はそんな友紀哉の声を途中で遮り、怒りの感情をむき出しにした声を口にする。
「……うん。殺すつもりはなかったけどね」
そんな将幸の声に友紀哉は真面目な口調へと声を変え、特に慌てる様子も見せず当たり前のように口にしてきた。
「…っ! てっめぇーーーーーー!!」
その声を耳にした瞬間、将幸の身体は無意識に動いていた。
友紀哉の方へ勢い良く飛び掛り、馬乗りのような体勢になる。
「わっ…将幸くっ…あぐっ!」
「てめぇがっ…てめぇがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
将幸は剛の血液で真っ赤に染まった両手に力を込めた拳をつくり、それで友紀哉の顔を殴りつける。
「てめぇがっ…てめぇが剛をっ!!」
今までにないほどの怒りを両手に込め、友紀哉の顔を殴り続ける。
そんな将幸の顔からは、怒りの表情と同時に悲しみの表情も表していた。
両目から止め処ない涙を流しながら、自分の下にいる友紀哉の顔を殴る。
「ぐっ、ふっ…っぐっ、ぁ」
止まらない将幸の暴行に、友紀哉は口を開く間すら与えられない。
「はぁっ…はぁっ…てめぇ…ぜってーゆるさねぇっ!」
完全に息が切れるまで友紀哉のことを殴りつけた後、将幸はようやくその手を止める。
「はぁ…まさゆき、くん?」
ボコボコに殴られた友紀哉の顔は、かなりの歪みを持っていた
「ブッ殺してやる!!」
そして将幸は少しだけ息を整えると、友紀哉の胸倉をつかんで再び殴りつけようと右の拳を振りかぶる。
しかしその瞬間、一瞬だけ全身に激しい痛みが襲い掛かる。
「あぐぁっ! っぐ…」
すぐに全身からは力が抜けていき、胸倉をつかむ手も身体が倒れ込むのと同時に離れていく。
「……少し、静かにしててね…」
それが何であるかは、すぐに解った。
以前友紀哉に犯された時に使われた、スタンガン…バチバチという音が、倒れ込む将幸の耳に聞こえてきた。
「ゆるさ、ねぇ…てめぇ…ぜって…」
それでも将幸は必死になって身体を動かそうと、感覚のない四肢をプルプルとさせながら、力なく友紀哉のことを殴ろうとする。
「…将幸君…」
そんな将幸に対して、友紀哉は再び大きな電撃音を立てる。
「ぐぁっ…あっぐ…」
一瞬とはいえ2度も与えられる凄まじい衝撃に、将幸は完全に気を失ってしまった。
「…静かに、ね」
「…ゆるさ、ねぇ…」
気を失う寸前まで、将幸は怒りの感情を出し続けていた。