+僕のサンタさん+


「こらっ! ダメだろ、人に向かってそんなに吠えちゃ…」
「くぅーん…」
恵介が目の前からいなくなると、ラグナはすぐにおとなしくなってしまう。
「静かにしてなきゃだめ…わっ」
圭太がラグナのことを叱ろうとすると、突然ラグナは圭太の目の近くを小さな舌で舐め始める。
「くぅん…くぅん…」
「ちょ、ダメだってば…ラグナ」
圭太がそう言っても、ラグナは動きを止めることがなかった。
そして暫くすると舐めることをやめて、確認するように圭太の顔を見る。
「くぅん…」
「…ラグナ…」
ラグナが自分に何をしてくれようとしたのかは、自分が一番良く解っていた。
さっきの恵介との話のせいで自分が泣きそうになったから、ラグナは圭太を守ろうと恵介のことを牽制してくれた。
そしてラグナが自分の顔を舐めていたのも、流れる涙を舐めとってくれていた。
「くぅん…」
ラグナは心配そうに、圭太の表情に目を向ける。
「ありがとう、ラグナ。ほらっ、早くお店に行こう。早くしないと、お兄ちゃん帰ってきちゃうからさ」
「わんっ!」
圭太の元気そうな返事を聞くと、ラグナの返事は嬉しそうなものへと変わる。
そして圭太は再びラグナを自分の胸元に抱きかかえると、少し早足で自分の向かうスーパーへと急ぐ。


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