+抱いて欲しい+


言葉にこそしなかったものの、止めて欲しそうにも感じられる声だった。
それでも裕明は唇の動きを止めようとはせず、やがては龍平の下半身へと持っていかれる。
「えっ! 裕明さっ…だっ、ダメだよっ!」
「…どうして…良いじゃん。龍平…」
裕明が龍平のズボンに手をかけ、全ての衣服を脱がそうとする。
しかし龍平はさっきまでの小さな声ではなく、はっきりとした口調でそう言ってきた。
「だっ、だって…俺、俺…」
再び泣き出しそうな声で、懇願するように言ってくる。
『うーん…やっぱり恥ずかしがるのは、止めた方が良いかな…』
裕明は心の中でそう考えながら、龍平の顔に目を向ける。
もう飽きるほど見ているのに、その恥らう表情はやはりとても可愛い。
『でもー…やっぱりしたいっ!!』
自分の欲望は抑えることが出来ず、結局裕明は無理やりに近い形で龍平のズボンを一気に脱がせていこうとする。
「わっ、わっ…やめっ…裕明さん止めてよっ!」
龍平は突然のことに驚きながらも、自分のズボンを脱がされないようにと必死になって引っ張る。
「黙って脱げってーの! よっと!!」
「わっ、わぁぁぁっ!」
しかし今までに与えられた快感のせいで、龍平は自分の手に力を入れることが出来ず、あっという間にズボンを剥ぎ取られてしまった。
『あぁぁっ…龍平の、生まれたままの姿っ!』
「えっ、あっ…やっ、やだっ!!」
完全な裸になってしまった龍平の姿を、裕明は鑑賞するように見る。
その瞳は、まさにいやらしいと感じられるものだった。
「そんなにはずかしがらなくても良いじゃん。ほら、手をどけな」
「やっ…いやだっ…恥ずかしいよぉっ!」
龍平は自分の股間に両手を置いて、一番見られたくない部分だけを必死に隠そうとする。
「そんなに嫌がんなって…すーぐ気持ちよくなるからさ…」
裕明はそう言うと、龍平の両手が置かれている部分に自分の顔を近づけていく。
そして手を使って隠している部分の両腕をつかみ、ゆっくりと退ける。
「あっ…っ…」
観念したのか思っていたよりも抵抗はなく、すぐに龍平の下半身があらわになる。
快感を与えられていたこともあってか、僅かだが大きくなっているようだった。
『…これがっ…龍平の…』
それを目にした瞬間、裕明は自分の胸が以上に高まるのを感じた。
唾液も必要以上に分泌し、それを飲み込む度に音が聞こえる。
「あっ…あんま、見ないでよっ…」
「えあっ…あ、あぁ…ごめんな」
完全に夢見心地になっていた裕明は龍平の言葉で我に返ると、ゆっくりと右手を動かし始める。
「…やっ、裕明さん…? あっ…」
「…凄い、温かいな…龍平のココ」
その手は迷うことなくもう一つの龍平を掴み、優しく握り締める。
体温以上に熱い感触が、右手に伝わってきた。
「やっ…恥ずかしい、からっ…え? …はぁぁぁぁぁっ!!」
そしてその部分を、裕明は自分の口に含み始めた。
「んっ…んむっ…龍平、気持ち良い?」
「あっ、はぁぁっ! くっぁ…んあぁぁっ!」
龍平の全身に、感じたことのない激しい快楽が襲い掛かる。
先程まで与えられていた微弱な快楽とは比べ物にならなくて、龍平は耐えられず大きな喘ぎ声を上げ始めた。
「龍平…もっと良い声出せよ」
「あっ…はぁんっ…あっ…ふぁぁぁっ!」
裕明は自分の口から唾液を流し、それを使って龍平のことを愛撫する。
やがて先からも液体が流れ出し、それを知らせるかのよう、裕明はわざとピチャピチャ音を立てる。
「龍平の声、スゲー可愛い」
上目遣いでしか顔を確認できなくても、裕明の目には快感に悦ぶ龍平の表情が見えた。
それがより一層に、裕明の口の動きを激しくさせる。
「あっ…はぁっ! はっ…あぁぁぁっ!!」
「んんっ! んっ…んくっ…」
しかし次の瞬間口の中に、大量の液体が入り込んできた。
「あっ、はふっ…はふぁ…」
それが何であるかは、言わずとも理解が出来る。
裕明はその流れてきた液体を口に含み、喉に流していく。
僅かに粘着を持っているそれは、喉の途中で絡みそうになる。
「早いって、龍平…」
これからと思っていた裕明にしてみれば、少しばかり拍子抜けしてしまったように感じていた。
「だっ…だって、我慢…出来なかったから…」
裕明の一言に対して、龍平は申し訳なさそうに顔を下にさげてしまう。
「…初めてだった?」
「うあっ…うっ、うん」
そんな龍平に向かって裕明は一言の質問をすると、恥ずかしそうに返事を返してきた。
『あぁぁ…龍平、初めてなんだぁ…』
その一言に、裕明の心は再び舞い上がり始める。
「そっかそっか。初めてなんだー…」
すると裕明は最初の時のように、その言葉を嫌味ったらしく口にする。
「あっ…あ…」
当然のように龍平も、より一層に頭を下にさげて落ち込みを表現し始めた。
『あぁっ…龍平!』
さらに大きくなる胸の高鳴りを抑えながら、裕明はゆっくりと龍平の所へと近づいていく。
「そっ、そんな気にすることないって…ぜーんぶ俺が教えてやるからさ」
「えっ…裕明、さんっ…んっ」
そして触れる程度の優しい口づけをし、再び龍平の身体を愛撫し始める。


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