+好き好きおに〜ちゃんッ!!+


台所につくと、おにいちゃんと向かい合うように座る。
本当はお父さんもお母さんもいないから、隣に座りたいんだけど…
でもそれだと恥ずかしいから、やっぱりいつも通りに座った。
「んじゃま…たべっか?」
「うんっ!!」
机の上にはあらかじめ調理されたものがお皿に盛られていて、そこには僕の大好きなハンバーグが乗せられていた。
「やった!! ハンバーグだっ!!」
それに大きさも…いつもより大きいっ!!
それだけで、僕の気持ちはとても嬉しくなる。
「あははっ…嬉しそうだな、宗太」
僕の声に反応して、おにいちゃんが声をかけてきた。
なんだか楽しそうな声で、その顔を見ると小さく笑っていた。
「あ、あぅぅ…だっ、だって…僕、ハンバーグ大好きだから…」
そんなおにいちゃんの声に、僕は恥ずかしくて顔をちょっとだけ下にさげる。
「ははっ。恥ずかしがらなくたって良いだろ。ほらっ…俺のも半分やるよ」
そう言うとおにいちゃんはフォークを使って目の前のハンバーグを半分に切ると、その片方を僕のお皿に乗せてくれた。
「えっ…でもおにいちゃんは…」
「俺は…そんなにくわねぇからな。宗太が食べていいよ」
おにいちゃんの顔はとても嬉しそうで、嫌がっているようには見えない。
「うっ…うん…けど」
おにいちゃんに悪いと思う気持ちがあって、僕は素直に喜ぶことが出来ない。
けど…沢山食べたいと思う気持ちには勝てなくて…
「うーん…うぅーん…」
「それじゃ…いっただっきまーす!」
「へぇぁっ?! い、いただきまーす」
僕が頭を抱えて考え事をしているうちに、おにいちゃんはそう声を出して食べ始めてしまった。
それにつられるように僕もそう声を出すと、お皿に乗っているハンバーグを食べだす。
頭の中で考えていたことはすぐに消えてしまって、気がついた時には目の前のお皿に残ったのは汚れだけになっていた。


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