+好き好きおに〜ちゃんッ!!+
「さてと…こんなもんかな」
食事をした後は、おにいちゃんと一緒に汚れたお皿を洗う。
おにいちゃんがお皿を洗って、僕が布巾で濡れたお皿を拭く…んだけど、
僕とにかくトロ臭くて、おにいちゃんのお皿を洗う速さについていけなくなっちゃう。
水切り棚はあっという間にお皿で溢れ返り、僕も急がなきゃと思うんだけど…
「へぁぁっ?! あわわわっ…」
『ガチャーーーン!!』
台所中に、お皿を割る音が鳴り響く。
気をつけてるんだよ? 本当に気をつけてるんだよ?!
けどちょっとでも油断すると、すぐにお皿は僕の手から離れちゃって…
「あぅ、あぅぅ…あっ、おにいちゃん…」
その場で僕がどうしようかと困っていると、おにいちゃんは濡れた手で割れたお皿を拾い始める。
「ほらっ…あそこからビニール袋持って来いよ」
おにいちゃんは顔を戸棚の方に向け、そう言いながらお皿を拾う。
「あっ、う…うんっ」
僕はその言葉におされて、棚の中からスーパーのビニール袋を取り出す。
そしておにいちゃんの所に戻り、その袋の中に割れたお皿を入れる。
「とりあえず玄関に置いとけば、母さんが片付けてくれっだろ」
そう言うとおにいちゃんは再び洗い場に身体を移し、残ったお皿を洗い始める。
「あ…お、おにいちゃん…ごめんなさい」
僕は悪いことをしたと思って、おにいちゃんに謝る。
けれど怒られるのが怖くて、どうしても声は小さくなってしまう。
「ん? 良いって…ほら、まだ残ってんだから早く拭いちまえ」
すると僕の頭の上に、わずかに濡れたおにいちゃんの手が触れる。
優しくて、大きな手…僕はまた、嬉しい気持ちになる。
「うっ、うんっ!!」
嬉しくて嫌でも大きくなる返事をすると、僕は再びお皿を拭き始めた。