先輩
Scean1


今年の大樹は力が入ってる。まぁ無理も無い。
もうすぐ始まるサッカーの大会、、、
大樹にしてみれば高校生活で最後の大会になるわけだし、
それに今まで良い結果残せなかったし、、、
大樹はいわゆるサッカー馬鹿だ。
学校内でも『サッカー以外には殆ど無頓着な人。』で定着してしまっている。
サッカー以外に無頓着かは解らないが、
少なくともサッカー馬鹿は自覚している様だった。
そんな今日も人一倍サッカーの練習に没頭する大樹の姿があった。
「ふぅ、、、こんなもんかな?」
「せんぱい〜、、、走りすぎッスよ〜、、、」
「何言ってんだ!!まだまだ〜!!」
「うぇ〜、、、勘弁してくださいよ〜、、、」
後輩の愚痴や批判を笑い飛ばしながら練習していた。
するとサッカー部の顧問の声が聞こえてきた。
「どうしたんだ?あのコースなら間違いなく入れられるはずなのに、、、」
「す、、、すみません、、、」
「まぁいいや、、、とにかく大会も近いんだから、頑張れよ。」
「はい、、、解ってます。」
「良し!!じゃあ続けよう。」
『今注意されてたの、、、聡史じゃないか?』
大樹はすぐにわかった。
まぁキャプテンだしそれなりに部員のことは知っているが、
聡史は特別だった。
なにせシュートに関しては天才的な才能を持っていたからだ。
大樹はその光景を見て、
『まぁ天才だからって失敗しない訳じゃないもんな。』
と考えていた。
だがその後も聡史の失敗は続いた。
今までの聡史ならば失敗するはずの無い事も全て、、、
「マジで大丈夫か?なんかあったのか?」
そう聞く顧問に聡史は何も無い、、、とひとこと言うだけだった。
大樹はそんな聡史を見て、
「聡史!!」
「、、、はい!!っあ、、、先輩、、、」
いきなり呼ばれ聡史は驚き、
そして大樹に呼ばれたことにも驚いたようであった。
「ちょっと話がある。部活終わって片付け終わった後部室で、、、良いな?」
「、、、はい、、、わかりました。」
小さな声で聡史は返事をした。
『明らかに今までの聡史と違う、、、どうしたんだろうな?』
そんなことを考えながら、大樹はサッカーに集中した。


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