+指輪+
Scean5
「ほらっ、、、コレッ、、、」
そう言うと右手に持っていた小さな箱を幸裕に手渡す。
「えっ?」
準一にいきなり渡された物に戸惑う。
「今日、、、ホワイトデーだろ。
バレンタインにプレゼント貰ったし、そのお返しだよ。」
少し顔を赤くしながら準一は言う。
しかし幸裕はいきなり渡されたプレゼントに驚き、そのままボーっとしていた。
「どうしたんだよ、、、ボケーっとして、、、」
少し心配そうに準一が聞くと、幸裕は少し慌てながら言う。
「えっあっ、、、ありがとう、、、その、、、なんて言うか、
準一のことだから、お返しなんて期待してなかったから、、、」
「んだよ、、、その『期待してなかった』って、、、」
「あっ、、、ごめっ、、、でも、凄く嬉しい、、、ありがとう、、、ほんとありがとう、、、」
本当に嬉しそうな顔をしながら幸裕は言う。
そんな幸裕の顔を見ると、準一は急に照れだす。
「べっ、、、別にそんな凄いもんじゃねぇし、、、」
「ねっ、開けてみて良い?」
「あぁ、、、お前喜ぶかわかんねぇけど、、、」
少し心配そうな顔をしながら準一は言う。
幸裕が箱を開けると、そこにはリングが一個入っていた。
良く見る指輪だと思った。
そしてそれはいつも準一が気に入ってしている指輪と同じだと解った。
「この指輪、、、いつも準一がしてる指輪、、、」
「あっ、、、あぁ、、、その、、、
プレゼント何が良いか考えてたんだけど思い浮かばなくて、、、
結局俺のお気に入りのリングと同じやつをやろうと思ってさ、、、」
少しだけ申し訳なさそうな表情をしながら言う。
リングには名前が彫っているわけじゃないし、
何か細工があるわけじゃない。
自分がいつもしているリングと同じ、、、ただそれだけだから、、、