+一年に一度だけ+
Scean1
「星夜、まだかな…」
人通りの激しい駅前で、一人そわそわしながら立つ織人の姿があった。
「織人…久しぶりだな…」
暫くすると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
そこには自分が待っていた人物が立っていた。
「星夜? 星夜だっ!」
周りを気にせずそう大きな声で叫ぶと、織人は星夜に思いっきり抱きつく。
「おっわ、なんだよいきなり」
「なんだよじゃないよ。1年ぶりなんだよ!1年ぶり…星夜…変わってないね…」
1年前に会った星夜と、目の前にいる星夜…
全然変わってなかった。顔つきや声…全て一緒だった。
自分の好きな人が目の前に立っている。それが嬉しかった。
「織人も…ちょっと大きくなったのか?」
「うんっ! でもまだ小さい方だよ」
織人の顔からは笑顔が絶えることがない。
その笑顔につられるよう、星夜も笑顔を見せていた。
「さてと、どうする?」
「どうするったって、別にすることないし…俺の家行こうか?」
「別に俺はどこでも良いぜ? 俺織人に会いに来たんだしな」
星夜は照れ笑いをしながらそう言う。
その一言に、織人の頬がわずかに赤くなる。
「そ、そっか…じゃあ、俺の家行こ。ちょうど街中通るし、丁度良いだろ?」
「そだな。んじゃ行こうぜ」
そう言うと織人は歩きなれた道を歩き、星夜もまた昔の記憶を辿る様に歩き出す。