+雨+
いつぐらいからこんな生活を始めたのか、もう覚えてもいない。 父親の顔も、母親の顔も…そして自分のはっきりとした名前も、覚えてはいない。 クライドという名前も、なんとなく自分がつけただけで、本当の名前など全く知らない。 …気がついた時には、一人ぼっちで街の中にいた。 気がついたら死にそうになって、気がついたら盗みを働いていた。 悪いことだとも知っていたはずなのに、生きようとする意志はそれをも忘れさせる。
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